短編集



ついでにワックスで固めた髪を掻き上げた。



今回は危うく彼女に自分の気持ちがバレてしまうかと少し焦ってしまった。



「仕事上ポーカーフェイスが売りなんだが」



油断し過ぎたか。



俺は心の中で舌打ちして自分に改めて言い聞かせる。




彼女が、お嬢様が婚約者の彼と仲睦まじいのは良いことだ。




それをいち執事の俺がどうこうするなんて絶対あっちゃいけない。



彼女の幸せが俺にとってもこの家にとっても一番で……



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