短編集



以上が私が彼を好きになった理由である。



えっ、つまりどういう理由?って誰かにもし聞かれたら私はこう答えるだろう。



だからそういうことだ、と。




まぁ、つまり私の場合は一目惚れならぬ一文字、一字、惚れなのだと、と。




だけどこれは私にとってはきっかけに過ぎず




彼を知る度に私の心は綺麗に文字のように縁取られ彼に塗り潰されていく。




塗り潰された文字は最終的にどんな文字になるのだろう。



“好”なのか“嫌”なのか“無”なのか




“哀”なのか“喜”なのか




そんな思い抱えながら私は今日も彼を見る。




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