短編集
それからやっと綺麗になったかな?ぐらいに思い始めた頃。
チャンスは巡ってきた。
ありがとうこざいます!神様。
その時俺は多分、初めて居るかどうかも分からない神に心からの感謝を告げた。
そしてやっと今の地位を手に入れることができた。
…… でも、分かってる。
彼女が俺に興味を持っているのではなく、俺の字に興味を持っていることは。
俺が彼女にとって付属品の一部に過ぎないのは知ってる。
でも、きっかけはできた。
これから俺という付属品に少しでも興味を持ってくれたらそれでいいんだ。
付属品は付属品なりに今日も君への想いをふんだんに込めて精一杯文字を書くから。
この恋の結末がどうなろうと。
君を想って書いた文字は嘘にはならない。
必ず残る筈だ。
さて、枠を塗り潰す頃にはなんの漢字ができているだろうか。