短編集
私の色はあなた色
「それで、みんな僕のことを持ち上げてきて―― いや、本当参っちゃうよ」
「ふふっ、そうなんですね」
春の暖かい日差しを浴びながら白いテーブルを囲む2人の男女。
一見は朗らかに楽しく談笑しているように見えるが、その実は
「あっ、すいませんちょっとお花摘みに」
「どうぞ、どうぞ」
彼女のほうがそう言って席を立つ。
男はティーカップを持ったままそれを快く承諾した。