アイドルと私。
「もしもし?紗莉ちゃん?」

「はい。お仕事遅くまでお疲れ様でした。」

ふふって笑う声にあー今すぐ抱きしめたい。ってなる気持ちをグッと堪える。

「ありがとう。そんな事より、紗莉ちゃん本当にありがとう!紗莉ちゃんの方こそお疲れ様だね。」

「ううん、これで少しでも雅人くんが健康で居られるといいなと思って。体を使う仕事だし…迷惑じゃなかった?」

電話をしながら、片手でプシュっと缶ビールを開けて、1口飲んだ後につまみを口にする。

「んまっ!この大根のやつ美味しい!ん?迷惑?なんで?もうそういう事言わないで。俺はすっごく嬉しいんだから。まだ気を遣ってくれる紗莉ちゃんはすっごくいい子なんだと思う。けど紗莉ちゃんの場合は気を遣いすぎてる感じがする。そんなのはなんか違う。気を遣わなさすぎも嫌だけど、気を遣われ過ぎもなんだか嫌だ。もうちょっと自然体で居て欲しい。」

そう言うと

「ごめんなさい。確かにそうだね、これからは気にし過ぎるのやめるね。でも喜んでくれて良かった。食べ方とか分からない時は言ってね。」

としょんぼりしながら言う紗莉ちゃんに

「分かったなら大丈夫だよ。それよりこんなに沢山の料理本当にありがとう。本当はもっと声聞いときたいけど、絶対お疲れだろうからもう切るね。」

ちょっとイタズラっぽく紗莉ちゃんに早く会いたいなって最後に呟きながら電話を切った。
< 121 / 242 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop