アイドルと私。
飲食店フロアをグルグル回って雰囲気が良さそうな喫茶店に入店。私はアイスコーヒー、雅人くんはアイスミルクをレジで注文して受け取り場所に並んで出てきた商品を手に取って、空いてる席に座る。

「紗莉ちゃんコーヒーなんて飲めるの?」

「うん。美味しいよ?雅人くんはミルクが好きなの?」

1口コーヒーを飲めば香りが一気に鼻に抜けて味も深くて美味しい。

「俺さ、コーヒー苦くて飲めなくて…紅茶系もなんか苦手で、それで行き着いた先がミルクだったの。」

か、かわいい!このお顔でコーヒーを飲んでたらギャップになるけど、飲めないなら飲めないでそれがしっくりきて、妙に納得した。しかも飲めないのが恥ずかしそうに伝えてくる事も可愛い。

「あ、今俺の事お子ちゃまだと思ったでしょ!もう!」

ぷくっと頬を膨らませて、ふんって横を向く姿は小さい子供が拗ねてるみたいで、微笑ましくなる。

「馬鹿にはしてないよ?雅人くんらしいなって思って。」

「ホント?本当に俺の事子供扱いしてない?」

「うん、してないよ。人間好みや苦手なことってあるでしょ?だから飲めないのを否定してるわけじゃないよ?」

そう言うと機嫌が戻ったのか、楽しそうな笑顔を向けてくる。うん、犬が叱られちゃってしゅんとしたけど、おやつを貰って喜んでるみたい。ダメだ。どんどん雅人くんが犬に見えてくる。
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