アイドルと私。
「お姉様へのプレゼントですね。年齢的にも大人でいらっしゃいますので…落ち着いたお色味の物をいくつかピックアップしますが、どんな物がいいとかありますか?」

あくまで平常心で私は仕事中だから。なんて事を心の中でずっと言い聞かせる。自分でも分かってる、体温が高くなってるって事を。こんなお客様は初めてで。自分に素直っていうか天然っていうか。とにかく何を思って言ってるかは分からないが、私には耐久がついてないため体が素直に反応する。そうしたらまた彼にからかわられるの。人懐っこい笑顔を私に向けて、悪びれる気もなくサラサラと思ってる事を口にしてくる。年下で人懐っこくて、なんか犬に懐かれた感じ。うーん…子犬?豆柴辺りの犬種に懐かれたそんな感じ。尻尾なんか生えてないけど、もし生えてたらぶんぶん振り回してそうな。なんて事を考えながらも仕事中だから何も気にしてない素振りをするの。

「女性が喜ぶ物ってなんですか?俺…姉には世話になってて…去年は現金、一昨年は商品券なんて渡してたら、なんか違ったみたいで…女の子が何貰って喜ぶか全然分かんなくて…。」

「そのようでしたら…ちょっとお待ちくださいね。」

その場を離れて、ポーチやハンカチ、ピアスなど小物を見繕う。彼の見た目や感じは女の子に慣れて無さそうだけど、実際は女心なんで全く分かってなくて、現金や商品券も嬉しいけれど、毎年そんなんじゃちょっとね…。サイズとかも分かって無さそうだから無難に使えそうな物を彼の元へと持っていく。
< 6 / 242 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop