アイドルと私。

「お仕事お疲れ様。俺はね今休憩。紗莉は家帰ってきて落ち着いた?」

付き合うってなってから毎日マメにLINEと、夜は1回電話が掛かってくる。今はその恒例の夜の電話タイム。

「お疲れ様。うん、メイク落としてご飯食べて食器洗ったところ。今日は何時まで仕事なの?」

時計をチラリと確認すると21時半を回っていて、この後もまだ仕事はきっと大変だと思う。それでもこうやって合間を見つけて、電話をくれる雅人くんの優しさ。

「今日はね後ちょっとって感じかな。23時には終わればいっかなーって。新曲を出すんだけど、それのPVを撮ってんの。」

「そっか、無理しないでね。」

「ごめんね、全然会えなくて。」

あの日ご飯を食べに行って5日は経とうとしている。それ以来会えていない。お互い仕事をしていてタイミングが合わないから。

「ちょっと寂しいなって思うけど、お互い忙しいからしょうがないよ。」

寂しくないといえば嘘になる。毎日電話をくれるのは嬉しいけれど、それだけじゃ物足りなさも感じる。
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