スイーツは甘いだけじゃない
「今日は情緒不安定だね。大丈夫、育休はちゃんと取るよ。僕たちの可愛い子どもの成長を見なきゃいけないからね。赤ちゃんは一日ずつ成長しちゃうから、一日一日が貴重だって聞いたから」
渉の言葉に美緒は唇を噛み締める。妊娠する随分前、美緒は渉のことを本気で愛していた。家族を不幸な事件によって失った自分を支え、そばにいてくれる大切な人だった。渉の本当の顔を見抜くことができなかった。見ようとしなかった。
全ての真実を知り、当然美緒は渉から逃げようとした。だが、逃げられるはずもなくこのマンションに連れて来られ、一方的で狂った愛をぶつけられた結果、美緒のお腹の中に命が宿ったのである。
「……あなたは悪魔よ」
甘い仮面を被った悪魔、それが美緒が夫に対して思っていることだ。それを聞いた渉は面白そうに笑う。
「いいよ、悪魔でも天使でも。スイーツは甘いものばかりじゃ飽きちゃう。苦いもの、スパイスが効いたもの、そういうものだって必要でしょ?」
渉の言葉に美緒は唇を噛み締める。妊娠する随分前、美緒は渉のことを本気で愛していた。家族を不幸な事件によって失った自分を支え、そばにいてくれる大切な人だった。渉の本当の顔を見抜くことができなかった。見ようとしなかった。
全ての真実を知り、当然美緒は渉から逃げようとした。だが、逃げられるはずもなくこのマンションに連れて来られ、一方的で狂った愛をぶつけられた結果、美緒のお腹の中に命が宿ったのである。
「……あなたは悪魔よ」
甘い仮面を被った悪魔、それが美緒が夫に対して思っていることだ。それを聞いた渉は面白そうに笑う。
「いいよ、悪魔でも天使でも。スイーツは甘いものばかりじゃ飽きちゃう。苦いもの、スパイスが効いたもの、そういうものだって必要でしょ?」