溺愛の檻から、逃げられない
「そういえば!梨花さん、最近清田さんとは会ってないんですか?」
とつぜん前に飛び出した彼女は期待の眼差しでこちらを見てくるが、あいにくこたえられそうにない。
「あれ以来会ってないかな。」
「キス事件以降か。」
「……そうです。」
「それはそうだろ。清田のやつ、確か今重要な案件に関わってるんだよな。たしか龍夏と揉めた娘の。」
「龍夏と揉めた娘?」
まさか…
嫌な汗が流れる。一瞬時が止まったように感じた。
「ああ。その見張りに任されてるらしい。逃げ出されたりしたら一大事だからな。」
「ちょっ、ちょと!藍川さん!!」
なにやら咲良ちゃんが困惑した様子で藍川さんと耳打ちしているが、気にしている場合ではなかった。
龍夏と揉めた娘。そんなに多くいるものではない。
それに…、見張り?
「……藍川さん、清田さんが見張りしている所、行きたいんですけど。」