溺愛の檻から、逃げられない




ーーー


さらにここの突き当たり左…か。

藍川さんいわく、清田さんが見張りをしているところは、冬狼が以前拠点としていた場所の地下らしい。


彼には「やっぱ清田が気になるか。」なんてからかわれわしたが、適当に誤魔化しておいた。


藍川さんは意外と恋愛話が好きなのかもしれない。


前の拠点は今の拠点と廊下で繋がっており、幸い外に出る必要もない。

蒼も許してくれるだろう。


「あった!」




ずっと東、1番奥まで進むと、一つの部屋がポツンとあった。この部屋のなかに地下に通じる階段があるらしい。

普段誰もここまで来ないのか、廊下に電気はついていない。

もう外は暗くなってきている。早く、行かないと。


私は襖に手をかけた。



「………やっぱりな。」



誰かの声がポツリと聞こえて、慌てて後ろを振り向いた。


だれ……



誰かは見えず、そこで私の意識は暗転した。




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