溺愛の檻から、逃げられない
「ほらもう一つ。」
「うぅ…」
黄色いマカロンも同じく、彼の手ずから頂く。
なんだか自分が雛鳥にでもなった気分…
は…ダメだ駄目!また、こうやって蒼の空気に呑まれてる!
「待って、ねえ、自分で食べるから。」
「だーめ。」
ほら紅茶も飲みなよ、なんてティーカップも渡されれば、ちょうど喉が渇いていた私は素直に受けってしまう。
「紅茶も君の口に合うと良いんだけど」
……悔しいことにこのお花みたいな香りのする紅茶はめちゃくちゃ合いますよ。
蒼は私の顔をじっと見つめていたかと思うと、いきなり後頭部に手を回してきた。
なに?…いきなりどうしたの?
「ひゃぁ…!」
チュッと小さなリップ音を立てて短く重なる唇。
一瞬何が起きたのか分からなくて、変な声を上げてしまった。
『なに』なんて問う暇もなく、再び額、頰へとキスの雨を降らされてしまい、突然のことに顔を赤くするしかなかった。