溺愛の檻から、逃げられない
「ううん。違うよ。」


ぼやけた視界で唇が動くのが分かる。


え…?

違う…?じゃあ何なの? 



「俺は冬狼の若頭。」



え…?

 

目を擦って目の前の男をよく見る。


やっぱり鼻が高くて、目が綺麗な整った顔が見えた。




あ…。

思い出したのは今日の朝、見たテレビ。



"冬狼の若頭独自取材"

太字で書かれた見出しの下、

キャスターの人の向かいに映るスーツ姿の男性。


その表情は、いかにも胡散草そうで

その内にある黒い感情が見えかかった笑顔。



< 14 / 122 >

この作品をシェア

pagetop