溺愛の檻から、逃げられない
その顔と今目の前にある顔とが重なる。
思い出した。
この人、ニュースとか新聞とかの写真でよく映ってる、
風月 蒼(ふうずき あおい)
正真正銘、冬狼の若頭だ。
なんで気づかなかったんだろう……!
さっきなんて、ばっちり見てたのに!
パニックになってたからかな…。
いやでも、なんで目の前に冬狼の若頭が!?
というか、ここはどこなの…?
目の前であわあわと慌て初めてる私を見て、
風月さんは妖しく口角を上げた。
「ここはその冬狼のアジト。
君の事は拐わせてもらったんだ。」
「な…なんで?」
「君を僕のものにしたいから。
囲って、陽花を俺の嫁にするためだよ」
肩と腰を掴まれたと思ったら、
そのまま上に引き上げて、首に手を通されて持ち上げられる。