溺愛の檻から、逃げられない
クチュッといういやらしい音が響きに渡り、頭が全然回らなくなってきた。


やばいこのままじゃ死んじゃう……、


なんとかしなくちゃ……



酸素不足でぼっーとする意識の中で

この甘い檻から逃げなくてはならないと

懸命に頭を働かせた。



ガリッ!


「っ………!」




蒼さんの顔が勢いよく離れる。



その拍子に私と蒼さんの間が銀の糸ができる。



「はぁ…っ…ゴホッ……はっ…は……。」


解放された私はむせながらも、必死に酸素を肺に取り込んだ。



震える脚を動かして、起き上がり後ずって距離を取る。



「っ…いきなり…何するんですか!?」


私がそう抗議しても蒼さんはどこか一点を見つめたままだ。

…私に振り払われた時と同じように。


私が蒼さんの舌を思いっきり噛んだからだろう。


唇の端に紅い血が滲んでいた。



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