溺愛の檻から、逃げられない

サングラスを取り畳の上に置いた。

すっと蒼さんの長いまつ毛が上に上がり、真っ黒い瞳が現れる。


ちろりと口から舌が出て滲んでいる血を舐めた。


それだけなのに、すごい色気が出ている。


思わず、釘付けになってしまう。


本当だったらさっきみたいに怖いはずなのに、

不思議と私の身体は先程のキスを思い出し、甘く疼いた。




膝立ちのままこちらに真っ直ぐに近づいてくる。


まずい…、後ろが障子で下がれない…。



「ねぇ。」


あっという間に距離を詰められて、

両手を蒼さんの片手に一纏めに頭上で拘束される。


覚醒しているはずの意識がなぜか再びふわふわしてくる。


「そんなに可愛い顔しないでよ。

 目、とろけちゃってるよ。」



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