溺愛の檻から、逃げられない
頬に手を添えられる。


ひんやりとしていて、火照った顔の私には丁度よかった。




その手は下がり顎をもつと、上に持ち上げられ、そのまま口付けられた。



ちゅっ、ちゅと啄むように繰り返される。



「ん……ぅ……」


顎を掴んでいた手が滑らかに移動し、

私の脇腹をもつと寝そべっていた布団に戻された。



唇が離れた頃には、脱力感に襲われていて

両手を拘束されていなくとも、指一つ動かせない状態だった。


「ぁ……ぃや……。」


「かーわい。」



語尾にハートがつきそうなほどの甘ったるい声とともに、唇を指でふにふにと遊ばれる。




あれほど怖かった黒い瞳が

今は色っぽく情欲に染まって揺らいでいる。



「ごめん。もう我慢出来ない。お前を完全に俺のものにさせてもらうから。」


唇を遊んていた指を離し、私の下腹部辺りを撫でる。



これから起こることが分かり、背中がゾクリと震えた。



「いや!」


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