溺愛の檻から、逃げられない
「い…いや……いやです。」
私、このままじゃ…!
「嫌じゃないでしょ。」
呂律の回らない口で抗議し、腕を押し上げ抵抗するが全く意味をなさない。
どうしたら…、
「あんまり騒ぐなよ」
蒼さんの纏う空気が変わった。
あの真っ黒な目がぎらりと獣のように光っていた。
「そんなに俺の嫁が嫌なら、陽花。
俺と取引しよう。」
と、とりひき?
「たしか、お前の妹は、龍夏の若頭と揉めたよな。」
冬狼の若頭だし知っているか。
「まあ、当然龍夏はお前の妹に目をつける。
そこでなんだけど、君が俺の嫁になってくれるなら、」
耳元で囁かれて、背筋がぞっとする。
「俺ら冬狼がその妹を護衛してあげる。
悪い条件じゃないでしょ。」