溺愛の檻から、逃げられない
怖い。
嫌だ。
お嫁になんて、ましてや蒼さんのものになんてなりたくない。
蒼さんはテレビにもたまにでてて、その名前を知らない人なんていない。
しかも、顔もすごく整っている。
でも冬華のなんだ。
何をするかわからない。
現に私を拐っているし。
「わ、わかりました。」
でも、私には承諾の選択肢しかなかった。
単に拐われた時点で嫁になるというしかないのだろうが、条件付き…
しかもそれで、美月やおばあちゃんの命が助かるというのなら異論はない。
…守ってくれるという確証はないが。
ただこれしか皆んな助かるにはこれしかないと思った。
絞り出した私の言葉に
彼は妖しく微笑むと耳元でこう告げた。
「改めて、今日から君は、俺の"もの"だから。」
彼は私の服に手をかけた。
甘くて、初めてで溶けちゃいそうな夜だった。