溺愛の檻から、逃げられない
辺りは真っ暗でほとんど何も見えない。
布団しか無かった部屋ではあるけど。
「今何時なんだろう。」
まだ寝たり無くて、意識がぼやっとする。
痛む腰を抑え、身体を起こした時だ。
「奥様。」
「ひゃ……!?」
した。
声がした。
確実にした。
…幽霊とかじゃないよね。
結構歴史ある家…、屋敷?っぽいし。
恐る恐る目を凝らしながら、声のした方向を見る。
すると、ぼんやりとだが正座した人のシルエットが見えた。
「えっ…と」
その人?は黙って立ち上ると私の方に近づいてくる。
まさか本当に幽霊?
「ま、まって来ないで…!ください!」