溺愛の檻から、逃げられない
「じゃ、帰ろっか。」



当たり前のように腰と頭に手をまわされて、

慌てて抵抗する。

  

「歩けます!」



「まだ痛いでしょ。腰。」


少し笑いを含んだ言いように、彼を睨みつける。

誰のせいだと思って…。




「慣れました。」


はぁとため息をついたとき、腰に手を回された。



「ごめんね。

起きた時一人にさせちゃって。

……あんなに、無理させちゃったのに…。」



無理矢理体を引き寄せられて、耳元で呟かれる。


耳がこそばゆくて、

しかもまた"あれ"のことを思い出してしまい、赤面する。

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