溺愛の檻から、逃げられない
妹の村崎美月はそんなにきちんとした人間じゃない。
男関係だと特にふしだらで、今月なんてほとんど毎日朝帰りだった。
男関係のトラブルなんて数知れずだし、髪は染めるし、ピアスは開ける。
トラブルのその仲介として役として私が動いたことも数回あったけど…
冬狼組のご無沙汰になるなんて初めてだった。
「それで…妹は?」
「ああ、美月ちゃんだっけ?無事だよ。
だけど、相手がね。」
そこまで言って男は私が出したお茶を啜った。
よかった…美月は大丈夫なんだ。
でも相手…?
「相手がどうなんです?」
喰らいつくようにして聞いてくる私にちょっと待ってと手を出し、
静止を掛けてくる。