溺愛の檻から、逃げられない


「えっと…大丈夫?」




何も言わない私を見かねてか

美月はさっきよりもさらに眉をひそめて声をかけてきた。



「うん、 」

わたしはぶつけて、ヒリヒリと痛む膝を気にしながら起き上がった。




"大丈夫"と続けようとした時、


するするといきなり這い上がっきた"何か"が私の唇を塞いだ。



(何…!?)


手や脚にも絡みついてきて、完全に身動きが取れなくなる。
  


自分の腕を見ると、先程自分が躓いたときと同じ種類の草花だった。




(何なのこの花…!)

 
視界一部が紫色で隠される。



この草花は私の視界をも塞ごうとしていた。


  


「お姉ちゃんッ!!」



完全に覆われそうな視界の中に美月が
こちらに手を伸ばすのが見えた。



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