溺愛の檻から、逃げられない
初めてのことに若干緊張しながら、襖の前に正座をする。


「失礼します。藍川さんにお食事をお持ちしました。」




声が上ずらないように注意して襖の向こうに声を掛ける。




人に配膳するのは初めてだったが、


助狼の皆さんが不器用な私にも出来るように丁寧に教えてくださったので

ここで失敗するわけにはいかない。


入れと中の人が言ったのを合図に襖を開ける。


「失礼します。」


初めて目にした部屋だった。

だだっ広い部屋の真ん中に、

高さが低めの、これまた大きい栗色のテーブルがある。




その上には豪華な食事があり、周りに人が囲うようにして座っていた。  


< 63 / 122 >

この作品をシェア

pagetop