溺愛の檻から、逃げられない


わあ…イケメンばっかだ。

主に金髪の人が多い。


袴に身を包み、なにか話しながら食事をしている。




あんまり見ちゃダメと分かっていても思わずその人達に目がいってしまった。



「っ………。」




思わず声が出そうになるのを抑える。


部屋の1番奥、入口から1番遠くに佇む黒髪の男性。


真っ黒な袴を着た彼はこちらを見ることはなく、

視線を隣の男性に向けられている。


妖艶に微笑み、相変わらず真っ暗な目にはどこか冷淡さが感じられた。



若頭…、蒼さんだ。

三週間ぶりに見る彼の姿。


そんな姿はイケメン揃いの中でも雰囲気がまるで違う。



暗く、どこか冷たいのに蝶が舞っているような美しさがある。


視線が囚われたみたいに離れられなかった。



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