溺愛の檻から、逃げられない
思わずぐっと息をのんだ。
あやふやな意識が一気に覚醒する。
真っ黒のマッシュの髪の毛に右耳にきらりと
光ったピアス。
スーツを着ていて、大人っぽく本当に驚くほどに美形な顔立ち。
その顔はうっすらと意地悪そうに笑っていて、
でも、それがどこか妖艶に見えた。
そんな彼は私の頬に手を当てて、こちらを凝視していた。
丸型サングラスから覗く目に焦点を当てる。
驚くほどに綺麗で真っ黒な目で、見るものを吸い込まれるようなだった。
綺麗な人、だれなの…?
ちょっと待って、ここって
「っ……!」
…私、瓶子さんにお茶を出して…
それから…、
瓶子さん達が龍夏の人だっって気づいて…、
その後の記憶がない…!