溺愛の檻から、逃げられない
「は、そんなこと……。」
目を開けるとスマホを片手に耳に当てる蒼さんが目に入った。
誰かと電話しているらしい。
前髪跳ねてる、なんてぼやけた頭で考えながら目を擦った。
のそのそと用意されてある着替えに手を伸ばしたが、横から腕が伸びてきて、私の手は空振る。
そのまま持ち上げられて、上を向けば、
悪戯っ子のような顔をした蒼さんが私を見下ろしていて。
ここが彼の膝の上だと分かった。