溺愛の檻から、逃げられない


「だからちょっとだけ「若様」チッ…。」




襖の向こうから声が聞こえた。

聞いなことのない声だな…。

ハスキーで落ち着いた綺麗な声。



そんな呼びかけに対し、当の若様は舌打ちで返してるし…。



「もう行くの?」


「はい。」
 

「まじで?」


「はい。」


「チッ。」


舌打ちで始まり、舌打ちで締めくくると、

私にまわしていた手を離して起き上がった。



すっと温もりが離れてまったが

頭に重みが乗った。
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