溺愛の檻から、逃げられない
 


黒いマッシュの髪。

こちらの視線を虜にする真っ黒な目。 

整ったクールな顔。

無駄に長い脚。

スーツを着ていても分かる鍛えた身体に無駄に長い脚。

極めつけは、低くて、聞きやすくて安心するでもどこか支配されるような気持ちになるその声。



(………やっぱり。)



目の前の男がはっきり見えた瞬間に私が今なここにいる理由が確信した。



(とうとう捕まったんだ。)



目の前の男、"現・冬狼組若頭"、"風月蒼"は外した私につけられていたはずの目隠しをポイと後ろに投げた。

しゃがみ込み、座る私に目線を合わせると再び怪訝そうな顔で口を開く。



「そう。お察しの通り、ついに俺に捕まったたんだよ。君のお姉ちゃん。今じゃ俺の大切なお嫁さんだ。」



はあとため息をつく。私が気絶したばかりに…いや龍夏の若頭と揉めたばかりに、お姉さんはついにこのこの男のものになってしまったのか。

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