町空くんは無自覚な闇
「ほら、藍原って不良蹴散らした過去があるんだろ?町空に何かあっても、お前が守ってやれるってことだ」
「いや私が守る側なんですか⁉︎」
確かに私は強い。
ある程度の男になら勝てる自信がある。
この美貌に魅了された男たちにつきまとわれることもあるため、水泳やテニス、空手など……あらゆる習い事をして強い体を手に入れ、対抗できるようにしたのだ。
私の美しさは時に罪であるため、強くなるための努力だって惜しまない。
事実、中学時代から何度か絡まれたことがあるけれど、力で制したことだってあるし。
そういえば過去に町空くんを助けたときも、不良を力で押さえつけたはずだっけな。
ああ、私って強さも兼ね備えているなんてもう完璧じゃない?
「わかりました。町空くんは安全に駅まで送り届けます」
気まずさはあるけれど、町空くんが暴走族とやらに絡まれたら終わりな気がする。
私が助けなければという謎の使命感ができてしまい、先生の言葉を受け入れることにした。