町空くんは無自覚な闇


 ここは温かく見守ろうと思い、私は町空くんの話した内容を想像してみる。

 私が暴走族を掌握……うん、それはそれで似合うかもしれない。私の美しさってほら、なんでも似合うからさ。

 悪い奴らですら私に虜で思いのまま操れるって……悪い気はしない。


「そうだなぁ。嬉しいかはわからないけど、かっこいいとは思うかも」

 悪い奴らも従える私……かっこよさも併せ持つなんて、最強すぎない?
 なんて、私まで厨二病が移ってしまいそうだ。


「第一、暴走族って本当にいるのかな?話は聞くけど、遭遇したことがないからわからないや」

「かっこいい……そうだよ、藍原さんは全てにおいて似合う人だから……そうあるべきなんだよ」

「町空くん……?」


 なんだか今の町空くん、少し不気味な感じがして怖い。
 その後、町空くんはなにかを考え込む動作をして、それ以上話すことはなかったけれど……嫌な感じがする。

 いつもより遠くに感じた駅がようやく見え、私は安心した。
 とりあえず町空くんとはここでお別れして……と思ったけれど、先に口に開いたのはまさかの町空くんだった。

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