町空くんは無自覚な闇
一度改札を通り、ホームへ行こうとしたけれど……やっぱり気になってそれ以上、足が進まない。
中学の頃、町空くんが不良に絡まれていたとき。
彼は手も足も出ずにただ一方的に殴られていた。
それほど弱い彼がやりたいことって……?
道はすでに暗くなりかけていて、何かが起こってからじゃ遅い。
「……この私を走らせるなんて!」
先生から町空くんを頼まれたのに、怪我でもされたらこっちが困るっての!
急いで町空くんの後を追うけれど、もうその姿はなかった。
「どこいったの……!」
少し怒りながら、とりあえず学校までの道を辿る。
そのとき、路地裏のほうから姿を現した女性二人組が、息を切らして走っていた。
「も、もう……だい、じょうぶかな……」
「こわ、かったぁ……!あの、男の人……大丈夫かな」
気のせいだろうか。
少し女性の服が乱れている気がする。
それに男の人って……?