町空くんは無自覚な闇
「まーたやってるよ、連続謝罪。あんな風に何度も謝られると、自分が悪いのかなって思っちゃうよね」
友達も同じように視線を向け、呆れたように話し始めた。
私たちの視線の先にいるのは、クラスのうるさい男子集団のうちのひとりと、ボサボサの髪で顔がよく見えず、俯き加減で何度も謝罪する男子がひとり。
まさに地味という言葉が似合う、謝罪し続ける男子の名前は町空くん。下の名前は……前に一度、自己紹介のときに聞いた気がするけれど、声が小さくて聞き取れなかったからわからない。
そんな町空くんとは中学から一緒だったりするけれど、一度も同じクラスになったことはない。
本当は忘れてもいい存在なのだが、過去に不良に絡まれていたところを助けたせいか、高校2年で同じクラスになって彼を見たときに、何となく覚えていた。
まさか同じ高校だったとは思わなかったけれど。
この学校は偏差値が高く、頭のレベルはそれなりに高いようだ。