町空くんは無自覚な闇
町空くんの視線の先



 どうしてこうなったのか……。
 放課後になったいま、私は町空くんと一緒に数学の準備室にきていた。

 担任の先生の担当教科が数学なのだけれど、今日の授業で準備室の清掃をお願いされ、先生が適当に選んだ生徒が私と町空くんだった。


「掃除ぐらい自分でしろって話だよね。こんな生徒に任せるなんて、怠け者もいいところよ」

 私が指名されたとき、自分が代わりにやると言ってくれた人もいた。
 ただ先生がダメだと言い、結局私が掃除に駆り出されたのだ。


 別に掃除は嫌いじゃないからいいけれど、それよりも……一歩うしろを歩く男、町空くんと一緒であるということが気まずくてならない。

 普通、私なんかと一緒に掃除だと知ったら、嬉しそうに話しかけてくるものじゃないの?

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