町空くんは無自覚な闇


「先生、掃除ぐらい自分でやってくださいよ」

「先生はこれから会議で忙しいんだ。だから手短に説明するな、まず資料は……」


 先生に掃除してほしい内容を伝えられ、足早に去っていってしまう。

 その後、町空くんと掃除が始まったけれど、彼がふたたび口を開くことはなかった。


「んーっ、終わったぁ!」

 しばらくして、ようやく頼まれていた掃除内容を全て終えることができた。
 お互い黙ってしていたためか、思ったより早く終わった気がする。

 先生を待っているべきか悩んでいると、ちょうど会議が終わったようで、準備室に戻ってきた。
 先生は綺麗になった準備室を見て感動していて、「ありがとう」と感謝される。

 感謝されて当然だけれど、お礼を言われるのは嫌じゃない。

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