イケメン、お届けします。【注】返品不可
さすがにマジマジとその顔を確かめるなんて真似はできなかったけれど、その手首にある腕時計は超高級品。
きっと、仕事もプライベートも順風満帆、人生を謳歌しているタイプだ。

わたしのダメダメな恋愛遍歴は、彼にとってネタにしかならないのだろう。
ムカッとしながらも堪える。

失恋して、イケメンバーでリア充(死語?)相手に絡み酒をするなんて、それこそイタイ女だから。


「ま、そんなプレゼントは貰えないってわかってますよ。なので、誕生日プレゼントは『カニ』でお願いしますね? ルミさん! わたし、カニさえあれば幸せに生きていけますから。すみませーん、おかわりくださーい!」

「カニ……確かにカニは美味しいけれどね……。ちょっとあかりちゃん、飲み過ぎよ?」

「大丈夫です。明日はなーんの予定もないので! 一日寝て過ごしまーす」


それから、泥酔するまで飲み続けた。
理想のイケメンとか、理想のデートとか、そんなどうしようもない話を延々として……。


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