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「はいはい、ただいま……」
オオカミさんに呼びつけられたシバちゃんは、抱えきれないほどの大きさの薔薇の花束を彼に差し出した。
オオカミさんは、それをそのままわたしに差し出す。
「ちゃんと百八本あるぞ」
「ひゃくはち……?」
「百八本の薔薇の意味は、」
わたしだけでなく、その場にいる全員が固唾をのんで次の台詞を待ち構える中、オオカミさんはふっと身を屈めてわたしの耳に囁いた。
「結婚してほしい」
間近に見た彼の頬はほんのり赤く染まっていて、つられてわたしの頬も熱くなる。
返事をしろと促すまなざしを受け、その耳に聞かずともわかっていると言った言葉を囁けば、はにかんだ笑みが返ってきた。
照れくさくて、恥ずかしくて、でも嬉しくて、ふたりで頬を緩ませ、何となく手を握り合った……途端、大ブーイングが起きた。