イケメン、お届けします。【注】返品不可
着いた先は、広い庭付きの一軒家。
ライトアップされているのは、かなり大きなログハウスだ。
「……まさか、建てたとか?」
「いや。前のオーナーと顔見知りで、母国に帰るというんで譲ってもらった。ほかにもいくつか候補はあったんだが……」
そう説明しながら、オオカミさんはログハウス正面玄関から中へ入る。
木の匂いに包まれたリビングは広く、暖炉があり、ゆったりくつろげそうな雰囲気が漂っていた。
家具は、ぽつんとソファーが置かれているだけ。
「あれ……」
「あかりも気に入っていただろう?」
どことなく見覚えのあるソファーは、あの日、インテリア用品店でわたしとオオカミさんの意見が一致したソファーだ。
「ほかの家具は、おいおい気に入ったものを揃えていけばいいし、何ならあかりが作ったものでもいい」
「そ、れはそうだけど……」
「キッチンも、気に入らなければ総入れ替えしてもいい」
キッチンは、リビングからひと続きではあるが、ちょうど階段が目隠しのような役割を果たしていた。
カウンター式で、収納スペースも十分あり、ダイニングテーブルがすでにある。
しかも、それはわたしが作ったもの。
社長に頼まれて、欲しいという人に譲ったはずのものだ。
「な、んで……これがここにあるのっ!?」
「九重社長に頼んで、譲ってもらったからだ」
「オオカミさん、うちの社長と知り合いなんですかっ!?」
「ああ。何度か一緒に仕事をしている。年齢も近いし、情報交換ついでに飲みに行くこともある」
「もしかして、社長がコンテストを開くことにしたのって……」