愛しの三味線侍

☆☆☆

翌日ベッドの上で目を覚ますとアユミからメッセージが来ていた。


《アユミ：昨日は突然友達呼んじゃってごめんね！　でも一弘くんはいい人だから！》


それってどういう意味だろう？


ぼんやりとした二日酔いの頭で考える。


思い出すのは奇抜な服を来た一弘という男のこと。


目がチカチカするようなカラフルなパッチワークの和服を来ていて、他のお客さんの目も引いていた。


けれど声がキレイで、ひとつひとつの所作もとてもキレイだったことが印象的だった。


でも、わかったのはただそれだけ。


どんな仕事をしているのか気になったけれど、それも聞きそびれたままだ。


まぁ、もう会うこともないだろう。


突然の一弘の登場にとまどったものの、軽く二日酔いになるくらいにお酒を飲んで楽しい時間を過ごすことができた。


やっぱり、持つべきものは友達だ。


大あくびをしながら洗面所へ向かい、顔を洗う。


鏡の中自分の顔はむくんでいて、結構ヒドイことになっている。


まぁいいや。


今日も明日も会社は休みだから、家でゴロゴロしよう。


ベッドに戻って横になり、手を伸ばして読みかけの雑誌を床から取り上げた。


今季流行りのコート特集を見ていたところでスマホが震えた。