愛しの三味線侍
フラれたばかりの私が合コンじみたことに参加するとは思えなかったのだろう。
そのとおり、きっと男を紹介すると素直に言われても、私は断っていたと思う。
まんまと2人の思惑に乗せられていたのだとわかってため息が出た。
あの後なんとなくの流れで一弘と番号交換もしたけれど、それも言い出したのはアユミだった。
確かに一弘はいい人なのかもしれない。
でも……。
私の思考回路はまた健へと戻っていく。
健は生真面目で仕事ができて、なにをやらせても完璧だった。
最初の頃はそれが良くて付き合って、好きなところでもあった。
自分の彼氏は完璧なのよと自慢して回った。
だけど、完璧な健はその完璧さを人にも求める性格だった。
『俺はできるのに、どうして舞はできないの?』
何度その言葉を言われたかわからない。
その度に私は作り笑いを浮かべて『えへへ、ごめんね』と、ごまかしてきた。
一応私なりに一生懸命だった。
健に近づくために仕事も家の事も両立させようとした。
でもダメだった。
仕事を頑張れば家ですぐに寝てしまう。
家のことを頑張れば仕事に集中できなくてミスしてしまう。
そのとおり、きっと男を紹介すると素直に言われても、私は断っていたと思う。
まんまと2人の思惑に乗せられていたのだとわかってため息が出た。
あの後なんとなくの流れで一弘と番号交換もしたけれど、それも言い出したのはアユミだった。
確かに一弘はいい人なのかもしれない。
でも……。
私の思考回路はまた健へと戻っていく。
健は生真面目で仕事ができて、なにをやらせても完璧だった。
最初の頃はそれが良くて付き合って、好きなところでもあった。
自分の彼氏は完璧なのよと自慢して回った。
だけど、完璧な健はその完璧さを人にも求める性格だった。
『俺はできるのに、どうして舞はできないの?』
何度その言葉を言われたかわからない。
その度に私は作り笑いを浮かべて『えへへ、ごめんね』と、ごまかしてきた。
一応私なりに一生懸命だった。
健に近づくために仕事も家の事も両立させようとした。
でもダメだった。
仕事を頑張れば家ですぐに寝てしまう。
家のことを頑張れば仕事に集中できなくてミスしてしまう。