愛しの三味線侍
そんな風に小さな女の子みたいな呼び方をされるとは思っていなかった。


健と一緒に居たときには舞と呼び捨てで、それはいつも威圧的な声色と共に振ってきた言葉だったから。


と、また心が健に戻っていってしまいそうになり、慌てて左右に首を振った。


せっかくここまで来たんだから今日は思う存分楽しまないと!


少しも健のことを思い出す空きを与えないぞと自分に言い聞かせて、私は指定されたソファに座ったのだった。
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