愛しの三味線侍
「侍か、そうか……」
ブツブツと呟いて私の声は聞こえていなさそうだ。
キョトンとしてその様子を見つめていると、ふいに顔をあげて「じゃ、また」と、背中を向けて歩きだしてしまった。
一瞬追いかけようかと思ったが、その足の速さに追いつくことはできないだろうと判断してすぐに立ち止まった。
一弘の後ろ姿はすぐに人波にまぎれて見えなくなってしまった。
「なに、あれ……」
私は呆然としてその場からしばらく動くことができなかったのだった。
ブツブツと呟いて私の声は聞こえていなさそうだ。
キョトンとしてその様子を見つめていると、ふいに顔をあげて「じゃ、また」と、背中を向けて歩きだしてしまった。
一瞬追いかけようかと思ったが、その足の速さに追いつくことはできないだろうと判断してすぐに立ち止まった。
一弘の後ろ姿はすぐに人波にまぎれて見えなくなってしまった。
「なに、あれ……」
私は呆然としてその場からしばらく動くことができなかったのだった。