愛しの三味線侍
理解が追いつかずひとりオロオロしていると「俺の友達なんだ」と、タイキが笑顔で言った。


「あぁ、そうなんだ」


タイキくんの友達が来るなんて聞いていなかった私はひきつるような笑顔になってしまった。


今日は思いっきり飲んで思いっきり騒げると思っていたのに、どうもそうはいかないようだ。


途端に緊張してきて、隣に座る男をチラチラと横目で確認する。


さっきは気が付かなかったけれど、今どき珍しく和服を着ている。


しかしその和服がパッチワークのようなツギハギでカラフルな布でできているから、気が付かなかったみたいだ。


帯の部分にはベルトが閉められていて、足元はスニーカー。


和服が乱れても大丈夫なように、細めのジーンズを履いている。


なんだこの人……。


見れば見るほど奇妙な感じがしてきて、思わず釘付けになってしまう。


「面白い格好してるでしょ？　私も最初一弘くんに会ったときにはビックリしたなぁ」


黙り込んでしまった私にアユミがクスクスと笑いながら言った。

「いや、うん……」


なんと返事をしていいか迷っていると、「俺和服好きなんだ」と、隣の一弘が言った。
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