愛しの三味線侍
デザイナーとかだったらすごいな。


聞いてみようか。


そんな風に考えていたとき、一弘が指先を動かしているのが見えた。


一体なんだろう？


どうやら本人は無意識にやっているようで、それはまるでギターの弦を押さえているような動きだ。


あ、もしかしてギタリストとか？


そう思っている間にいつの間にかアユミが注文した商品が次々と届いて、あっという間にテーブルの上は一杯になった。


「ささ、みんな食べて！　今日はタイキのおごりだから！」


アユミの言葉に「え、本当に？」と、私の意識は向かう。


「タイキがみんなを招集したんだから、当然でしょう？　ね、タイキ？」


「おうよ！」


ジョッキ１杯を飲み干したタイキはすでに頬が赤くなっていて、なにを言っているのかわかっていない様子だ。


「いただきます」


結局、一弘がどんな仕事をしているのかこの日私は聞きそびれてしまったのだった。
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