旦那様は征服者~孔明編~
パンケーキが運ばれて、孔明と牡丹は仲良く食べ始めた。

「んー!美味しい~!
孔明様、美味しいですね!」
「あぁ。
確かに、甘さ控え目だな。
食べやすい。
━━━━━フッ…」

牡丹を見て、孔明が吹き出した。

「え?え?なんですか?」

「牡丹、クリームがついてるぞ!」

「え!?嘘!?やだー!
ど、どこですか!?」

「フッ…こ、こ!」
孔明の顔が近づいてくる。
そして、鼻の先をまるで食べるように食らいつかれた。
「んんっ!!」

「甘いな、クリーム」
孔明は微笑み、妖しく舐めたのだった。


それから店を出た、二人。
店前に停まっている車に乗り込んだ。

「牡丹、次何処行きたい?」
「孔明様が決めてください」

「フッ…いいのか?(笑)」

「え?」
孔明の顔が近づき、額がくっつく。

「俺が決めると、行く所なんて限られるぞ?」
「あ…/////」
「だろ?(笑)
だから、牡丹が決めろよ」

「行きたい所はあります。
でもきっと、孔明様は嫌がるかなって」

「言ってみろよ。
言うだけなら、何も悪くないだろ?」

「イベントに行きたいです」

「イベント?」

「今日、ドームでファッションのイベントがあるんです。色んなショップが並ぶみたいで。
行って…みたいな」
牡丹が孔明の顔を窺うように言った。

「………」
「……や、やっぱいいです!
えーと…あ!普通に服見に行きたいです!
いつも、孔明様が連れてってくれてるとこ!」

孔明の機嫌が明らかに悪くなり、牡丹は慌てて言い直した。

孔明を怒らせてしまった━━━━━━

「遥大」

「は~い!
準備させればいいんですね?」

「え?孔明様?」

「連れていってやる」
「え!?いいんですか!!?」

「でも、俺から放れるなよ」
「はい!」
「俺しか見るなよ」
「はい!あ、でも…服は見ますよ?」
「わかってる」


イベント会場に着き、牡丹は孔明に腰を抱かれながら入った。

「わぁー、凄いですね!」
「あぁ」
会場の大きさと、人の多さに圧倒される牡丹。

すると、黒スーツの男性が孔明と牡丹の方に近づいてきた。

且頼(かつより)
番田(ばんだ)さん、こんにちは!」

「こんにちは、牡丹さん。
……………組長。ちょっと、お耳を…」
牡丹に微笑み、孔明の耳に口を寄せた。

番田 且頼。
花神組の若頭だ。

「ここの責任者に話しましたが、貸し切りにはできないと。急の話でしたので……
しかし、入場制限はしてます」

「ん。わかった、ご苦労さん。
………牡丹、行くぞ」
「はい」

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