旦那様は征服者~孔明編~
「牡丹?」

「隙間なんか、ありません!
私達は、相思相愛です!」
真っ直ぐ見上げ、言い切る。

孔明は目を見開いて、フッ…と笑った。

「そうだな……!
………………フッ…まさか、牡丹に元気づけられるとはな(笑)」

「あー、バカにしましたねー!」

「フフ…いや……」
また、孔明の顔が近づいてくる。

「牡丹。
お前が、可愛すぎるっつってんの…!!」
また口唇が重なり、貪ったのだった。



「━━━━━んんっ…こ…めい…さ、ま……」
そのままベッドに移り、抱き合う。

何度も抱き合って、それでも求め合う。

「牡丹」
「こ…めい…さまぁ…」

「牡丹」
「んぁ…こ…めい…さ…」

低く、重い…でも穏やかな孔明の声。
牡丹の大好きな声が、耳に響く。

「牡丹、愛してる…お前だけを………」
牡丹の耳元で囁く。

指を絡めて握り、何度も愛を囁く孔明。

「絶対…離さねぇから……お前だけは…絶対に………!」


牡丹が眠ってしまい、孔明は肘枕で牡丹を見つめていた。
牡丹の目にかかった前髪を、優しく払う。

「牡丹」
「………」

「ほんと、お前…綺麗だな…」
「………」
ぐっすり眠っている牡丹に、ひたすら話しかける。

「お前が、傍にいてくれないと…俺は死んでしまう……」
「………」

「俺以外を見れなくしたい」
「………」

「俺以外のことを考えられなくしたい」
「………」

「俺以外を感じれなくなれよ」
「………」

「お前も、俺しかいなくなれよ」
「………」

「………」
「………」

仰向けに寝転ぶ。
そして髪の毛をかきあげた。

「…………何、言ってんだ、俺は……!」
そして、自嘲気味に笑った。


そこに、ノックの音が響いた。
「孔明様ー!」
伊丹の孔明を呼ぶ声。

牡丹を起こさないようにベッドを降り、ドアに向かった。
「何だ」
ドアを少し開けて言った、孔明。

「若が来てます。
裏切り者がわかったそうですよ」
伊丹の言葉に、孔明は簡単に服を着てリビングへ向かった。


「━━━━中浜(なかはま)です」
「あいつか」

中浜とはこの国の政治家で、リコを通じてクラブで知り合った。

中浜から、大臣達の裏情報を得ていた孔明。
その代わり、中浜の護衛などをしていた。

もちろん、信用していたわけではない。
常に、警戒は怠らない孔明。

「やっぱ、リコと裏で繋がってたか」
「組長の、予想通りです」

「さぁ、どうすっかなぁー」
「それが、組長」
「ん?」


「この中浜の息子が、牡丹さんの高校に転校するらしいです」
雲行きが、怪しくなっていた━━━━━━
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