旦那様は征服者~孔明編~
牡丹は、現役の高校二年生。

そして、孔明の妻だ。

更に孔明と牡丹は、25歳の年の差がある。



二人の出逢いは、牡丹が6歳の時。

「お前、牡丹って名前なのか?」
「うん。おじさん、誰?」
「おじさん……(笑)
………まぁ、そうだな。
ガキから見りゃあ、おじさんだな(笑)」

「……/////」
見た目はかなり強面なのに、笑顔がとても柔らかく優しい。

牡丹はあっという間に、孔明に虜になった。

牡丹は両親を早くに亡くし、施設に預けられた。
その施設を管理していたのが、孔明の組“花神(かしん)組”だ。

その頃はまだ孔明は、若頭補佐で頻繁に施設に顔を出していた。

他の子ども達は、決して孔明に近寄らない。
施設長でさえ恐ろしくて恐縮する中、牡丹は孔明に懐いて膝の上にまで座って甘えていた。

孔明からすればその無邪気さが新鮮で、牡丹への愛情を芽生えさせていた。


牡丹が中学生になった頃。
誰もが見惚れる程の、美しい娘になっていた。

その姿に、孔明は更に心を奪われていく。

「牡丹」
「あ、孔明様。こんにちは」
「お前、綺麗になったな」
「そうですか?」

「お前、俺の妻にならないか?」

「え?孔明様の、妻、ですか?」

「そう。俺だけに愛されて、囲われて、守られる生活。
どう?」

「まずは、お付き合いからでは?」

「この俺が、そんな面倒なことすると思う?」

「それに、沢山の女性が周りにいらっしゃるじゃないですか」

「そうだな。でも“それ等”は俺の女じゃない」

「それでも、嫌です」

「何故?」

「私は欲張りだから」

「へぇー、どんな風に?」
孔明が口角を上げ、フッ…と笑った。

「孔明様の奥さんになるなら、私だけ見てて欲しいです」

「うん。じゃあ…その女共、全部切る」

「そんなこと、できるんですか?」

「できる」
真っ直ぐ牡丹を見て、言い切る孔明。
牡丹も孔明を見上げる。

力強くて鋭い視線。
牡丹は、孔明のこの目が好きだ。
この目は、一種の催眠術のようなモノ。
あっという間に虜になり“私を好きにして”とさえ思わせる。

「━━━━━━でも、牡丹」
「はい」
「…っつうことは、お前も覚悟しろよ」

「え?」

「俺はお前を絶対、放さねぇからな。
俺だけの所有物になるんだ。
“俺だけに愛されて、囲われて、守られる”
これは、かなりの覚悟が必要だぞ」


「望むところです」

こうして牡丹は、高校入学と同時に孔明の妻になったのだ。
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