クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜
〜プロローグ〜
小春の生きる道
あの頃、荒んだ日々。
早く大人になりたいともがき苦しんでいた。
自分なんてどうなったっていいと。
投げやりな生き方で。
そんな俺にたった一つだけ光り輝く思い出がある。
今も忘れない。
放課後の音楽室。
舞い散る桜の花びら。
彼女の澄んだ笑い声。
風に吹かれる栗色の長い髪。
『どこにいてもずっとずーっと先輩の事。
応援してますから。負けないでください。』
その言葉だけが俺を救い、導き、時に助け。今までなんとか頑張ってきた。
やっとここまで昇り詰めた。
音楽という、星の数ほど夢見る人がいる世界で。
デビューを果たしたのは3年前。
なのに君を見つけ出せない。
君にもう一度会いたい。
笑った顔がみたい。
次、逢えたならもう2度とその手を放さない。
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