クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜

「私は、元気です。
お久しぶりです。
先輩も元気そうでなによりです。」

小春はニコッと何でもないフリをして、
あえて軽く話し、この場を早く立ち去ろうと決める。

早く一階に着いて。と小春は心で祈る。

「…小春と話しがしたいんだ。
時間を作ってくれないか？」

修哉としては、これ以上ないくらい優しい声で、逃げないでと願いながら話しかける。

「小春…。」
言葉を迷うのか、一言も話さない小春の前で修哉は困ってハニカミ、口元を緩める。

あっ。先輩だ。
あの時と同じような笑顔。
あの頃、憧れて、遠くから見かけるだけでも嬉しくて、
そんな先輩と話せるようになって、
笑いかけてくれるようになって、
舞い上がって、

毎日がキラキラしていたあの頃に、
少しだけタイムスリップしたかのような感覚におそわれ、
小春は少しだけ口元を緩めて微笑む。

そんな顔を見て、修哉も眩しいものを見るように目を細めて微笑みを返す。