クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜
夕方近くになるにつれ、気持ちもどこかそわそわ落ち着かない。
面と向かって会っても平気だと思っていたのに、大丈夫だろうか私。

お店の控え室で修哉さんを待っていると、
「小春ちゃん彼氏さん来たみたいだよー。」
親切に店長が教えにきてくれた。

お店の裏口から出ようとすると、店長がこっちこっちとお店に呼ぶ。

「イケメンよねー。」
「本当、目の保養になるわ。」
「気持ちも若返っちゃう。」

おばちゃん達もそわそわと厨房から覗いる。
お店を伺うとそこに修哉さんがお弁当を買っていた。

「お疲れ様。」
「家で食べる分ですか?夕食は作ろうと思ってたんですけど。」
小声で伝える。

「これは、泉にと思って。アイツ不摂生だから。それに、今日は無理しなくていい。」
小春は首を横に振る。

「そわそわしちゃって何かしてないと落ち着かないので作らせて下さい。」
修哉は首を縦に振って微笑んで会計にいる店長にむかう。

「小春がいつもお世話になってます。いろいろと協力して頂きありがとうございます。」

「いえいえ、お安い御用ですよ。
例の不審者は一回来たきりでその後一度も来てませんよ。後、小春ちゃんは一度もお店から出して無いので安心してくださいね。」

私の知らないところで修哉さんがまたいろいろ手を回してくれてたみたい。

「お疲れ様。小春ちゃんまた、明日ね」
会計をしてお礼をしてから2人お店をあとにした。

車の中で修哉に聞く。
「いつから店長と知り合いだったんですか?」

「あー、小春が時間帯変えて働き出した時に電話したんだ。配達とかさせないで欲しいって、…ごめん言わなくて。」

「いえ、ありがとうございます。
私、知らなくて、何処にいても何してても修哉さんに守ってもらってたんですね。」

「自分でも過剰だとは自覚してるんだ。
…お父さんみたいって言われそうで言えなかった。」
クスクスっと小春が笑う。
「修哉さんのお父さん体質には感謝してます。今までありがとうございます。」

「俺が安心したくてしてるんだ。お礼なんていらない」
独り言みたいに修哉さんがそう言うと、車を走らせた。
< 100 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop